
ある日のこと。パンを買いに行ったカミさんを待つために路肩に車を止めていた。ふと右側に目を向けるとそこはビルの一階の保育園。一階全体が保育園になっていて中央が玄関、玄関の左右はスロープになっていて歩道と緩やかにつながっている。5mを30cm勾配といったところか。玄関左側のスロープの玄関寄りに三台の珍しい車が置いてあるのに目が止まった。
子供四人が乗れる乳母車、移動車である。台車に檻をつけたような移動車はみたことがあるが、これはみたことがない初めての形だ。特注だろうか、折り畳みは不可のようだ。さてどう使うのか、誰か出てこないかな、と思っていたら、エプロンをしている保母さんらしき人が出て来た。一人でどこかにお出かけかなと思っていたら、なんと、そのあと出て来たではないか子供達が。ヨチヨチ歩きの1~2歳くらいの子供たち。保母さん四人に子供たち9人。一人ずつ乗せてはシートベルトをつける。空いている椅子には小さいリュック。あの中には何が入っているのだろう。オシメ、着替え、それともおやつ・・・。
乗せ終わると、準備完了。ロックを外して三人の保母さんがそれぞれ手押しで出発する。四人目の保母さんは玄関で手を大きく振る。補助輪も含めて6輪車、いや、前後四輪はダブルだから10輪車だ。安定していて運転しやすそうである。「行ってらっしゃい」。時刻は午前10時。お日柄もよく、絶好のお散歩日和である。